フリーエンジニアが案件を受注する場合、業務委託契約を締結することがほとんどではないでしょうか。業務委託契約は、委任契約や請負契約の部類に所属する無名契約です。雇用契約とは異なり、業務委託契約だとクライアントに指揮命令権がなく、対等な関係を維持したまま仕事に取り組めます。その代わり、フリーエンジニアを守る法律の規定が少ないのが現状です。
権利を守るためには、契約内容でカバーする必要があり、契約時に交わす契約書の内容をしっかりチェックすることが欠かせません。業務委託契約の内容として重要な事項は、報酬の額や支払日のほか、業務内容、契約期間から損害賠償責任の所在に至るまで多岐にわたります。また、委任契約や請負契約かという契約の性質を定めておくことも重要です。委任契約なら、業務の遂行自体に報酬が発生し、仕事が完成しなくても報酬が得られます。委任契約は当事者の双方が自由に解約できることから、フリーエンジニアの方から途中で解約してもかまいません。
ただし、受注したフリーエンジニアには善管注意義務が生じ、誠意を持って細心の注意を払い業務を遂行しないと、報酬を獲得できないこともあります。一方、請負契約だと仕事の完成が報酬支払い要件となるので、受注したフリーエンジニアは仕事が完了するまで報酬をもらえません。このように、業務委託契約の性質によりその拘束力や効果が異なるため、フリーエンジニアはこの点を曖昧にしないよう気をつける必要があります。